胃内視鏡検査の流れや費用、検査前後の注意点について
- 投稿日
- 2024.12.18
- 更新日
- 2024.12.18
職場や行政などの健康診断で受けられる胃がん検診は、胃X線検査(バリウム)と胃内視鏡検査(胃カメラ)が選択できるようになっています。
「カメラを挿入するということが怖い」「経験者から胃カメラは苦しいと聞いた」という場合、バリウム検査を選択されることもあるようなのですが、やはり胃がんの早期発見をするためにはカメラで直接胃の中を観察する胃内視鏡検査が最も確実です。
とはいえ、検査を受けた経験が少ない場合、検査に不安を感じることもあるでしょう。
当院で胃内視鏡検査および大腸内視鏡検査を受けていただく方には、問診の段階でしっかりと検査の流れや検査前後の注意点についてご説明しておりますが、今回はコラム内でもご説明させていただきます。
胃内視鏡検査の流れ
1)初診の予約
胃内視鏡検査を希望される場合は、当院のメールフォームやお電話にて予約の旨ご連絡ください。
予約なしで来院された場合は、混み具合によって診察までにお時間をいただくことがありますので、事前予約がおすすめです。
2)初診
現在の胃の症状や検査を受けたい理由などについて伺います。
「胃の不快感・胃痛がある」「食欲がなくなった気がする」など気になる症状があれば遠慮せずお伝えください。また会社の健康診断で異常が認められたという情報も重要ですから、検診の結果も持ち込んでいただけると診察の参考になります。
※不織布マスクをしてご来院をお願いしております。
3)検査日予約
鎮静剤を使用しない場合は、初診と検査を同日に行うことが可能です。
ただし、鎮静剤の使用を希望される場合は初診と検査日は別に設けます。これは事前に鎮静剤使用についてご説明し、患者さんご自身で使用の有無を判断していただくためです。
患者さんの体質(薬のアレルギーについて。薬の常用や酒量によっては鎮静剤が効きにくい場合がある)や、検査後の帰宅手段は確保できるか(運転NGのため、交通機関やタクシーで帰宅できるか)など、それぞれのご事情によって選択肢が変わります。
「鎮静剤を使って検査をしてもらうか迷っている」という方は、初診の説明で判断していただき、改めて検査日を決めるというのが安心でしょう。
4)検査前の注意点
<午前の検査の場合>
前日の夕食は20時までに済ませてください(水・お茶はいつも通りに飲んで結構です)。検査当日は朝食を摂らず、起床後から検査の1時間前までに500mlの水を飲んでください。
※血糖降下薬以外のお薬は朝8時までに内服してください。
<午後の検査の場合>
前日の夕食は普通に食べてOKです。検査当日の食事については、検査5時間前までに塩むすび(具・のりなしのもの)のみ食べても構いません。飲み物は水のみ検査1時間前までに摂取可能です。
※血糖降下薬以外のお薬は朝8時までに内服してください。
5)胃内視鏡検査の流れ
検査着に着替え、胃の中をきれいにするための消泡剤を飲んで、のどの奥に麻酔をします。
検査台に横になります。医師が鼻(もしくは口)からカメラを挿入します。体の力を抜いて、ゆっくりと呼吸をしていただくのが楽に検査を受けるコツです。当院では、呼吸の仕方について看護師がサポートします。
カメラで食道・胃・十二指腸を観察しますが、通常観察のみだと良性か悪性か判断が難しい場合は、診断のために病変に色素をかけたり、組織の一部を採取して病理検査に提出することがあります。
検査の所要時間は、検査前の説明・麻酔などで約15分、内視鏡検査自体は5~10分程度です。
ピロリ菌検査のための呼気検査が必要な場合は、胃内視鏡検査終了した1時間後くらいに行います。呼気検査時間は約20分です。
6)休憩・診断
検査後、数十分休憩をしていただきます。鎮静剤を使用した場合は、検査後に1時間ほど横になって休憩していただくことになります。(効き目が長引いた場合は、ぼーっとしたまま帰宅するのは危険なので、患者さんの安全のために目が覚めた後でも休憩時間を延長することがあります)
休憩終了後、医師から診断の内容をお話しします。
7)検査後の注意点
鎮静剤を用いた場合は車やバイク、自転車の運転ができません。公共交通機関やタクシー等で移動をお願いします。
飲食・タバコは検査終了後1時間は摂らないでください。麻酔が効いた状態だと誤嚥などによる肺炎のリスクがあるため危険です。
なお、病理検査を行った場合は当日のアルコールや刺激物の摂取は控えてください。
胃内視鏡検査の費用について
食道や胃に何らかの自覚症状があったり、健康診断で要精密検査と言われた場合、医師の診断で検査が必要と判断されれば胃内視鏡検査に保険を適用することができます。
検査費用は診察料を含め、保険適用(3割負担)で約4000円~7000円程度であることが多いですが、鎮静剤使用や病理検査の有無によって費用は異なります。
なお、症状が全くない場合も胃内視鏡検査は行いますが費用は10割負担になるので、少しでも症状に心当たりがあるようでしたら忘れずに医師に申告してください。
胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査を同日に行うことができます
当院では、胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査を同日に受けることが可能です。鎮静剤使用の休憩時間を除き、検査自体は1時間以内に終了します。
検査のために何日も仕事を休めない方や、検査前の食事制限を1回で済ませたい方は同日に両検査を受けたい旨を医師に相談してください。
定期的な胃内視鏡検査で胃がんの早期発見を
胃がんは大腸がん・肺がんに次いで3番目に多いがんで、日本人の死亡原因の上位にあります。
胃がんは早期発見・早期治療をすることで99%が治ると言われていますが、早期がんは自覚症状がないため、普段から定期的に胃内視鏡検査を受けて、カメラで病変を発見することが重要なのです。
一般的に、胃内視鏡検査は2年1回が推奨されています。しかし早期胃がんを見つけるためには1年に1度は受ける方がよいと私は考えます。
早期胃がんというのはベテランの医師でも見つけにくいもので、1度目の検査ではがんに見えないという場合があります。そこで見過ごされてしまうと、次に検査するのは2年後になるため発見が遅れてしまうのです。
がんは少しずつ変化していくので万が一1年目でわからなくても、2年目でさらに変化して見つかるというケースが少なくありません。
健康診断で引っかかったら必ず胃内視鏡検査を受けていただくことと、中年以降はがんに罹患する確率が上がりますので、40歳以上の方は症状がなくとも定期的に胃内視鏡検査を受けていただくことが望ましいですね。
当院では苦痛の少ない胃内視鏡検査を心掛けています
当院では苦痛の少ない検査ができるよう、医師・看護師ともに研究を重ねています。私どもは胃がんで死ぬ人を一人でも減らしたいと思い、そのためには検査の苦痛を軽減してもっと気軽に検査を受けてもらえるようにしなくては、と考えているからです。
苦痛の少ない検査を行うには、医師と看護師、そして患者さんの連携が必要ですから、検査前には丁寧に説明をして、検査中は呼吸のやり方などのサポートを行います。
また、内視鏡検査の不安や苦痛は鎮静剤使用で軽減できます。寝ている間に終わりますので、検査中の苦しさを覚えていることはほぼないでしょう。
ですが、何らかの事情で鎮静剤を使用したくない・使用できないという方もいらっしゃいますので、そのような方はぜひ一度ご相談ください。当院が苦痛を軽減するために行っていることについて納得感あるご説明ができるかと存じます。
人間ですから、嫌なことは後回しにしたいという気持ちはわかります。私どもも検査を強制することはできません。しかし検査を後回しにして病が進行してしまうと、痛みや苦しみが長く続くことになり、治療の費用もかさみ、最悪の場合は若くして亡くなることも考えられるのです。
どうか、ご自身の体のメンテナンスとして、年に1回の胃内視鏡検査をお受けいただけるよう、お願い申し上げます。