大腸内視鏡検査の費用、検査の流れ【前日・当日】メリット・デメリットについて解説
- 投稿日
- 2023.03.27
- 更新日
- 2023.03.27
大腸がんは年齢が高まるにつれて罹る人が増える病気で、40歳以上から急激に罹患率が上がります。
40歳より下の年代であっても密かにがんが進行している場合もありますし、気づいていないだけで将来がん化する可能性のあるポリープ(腺腫)を1つ2つ持っている方もいるでしょう。幸いにも大腸は、内視鏡カメラを入れて病気がないか目で見てチェックをすることができる部分です。大腸がんは早期に発見できれば完治が見込めるがんなので、定期的な健康診断の一つとして積極的に大腸内視鏡検査を受けていただきたいと考えています。
大腸内視鏡検査とは
先端に超小型の高性能カメラがついた細い管を肛門から挿入して大腸粘膜を観察する検査です。X線やバリウム検査とは異なり、大腸内を目視で確認ができるので最も診断制度が高い大腸がん検査です。がんの他にも、ポリープや粘膜からの出血・炎症を発見することができます。
検査のメリット・デメリット
【メリット】
先にお伝えした通り大腸内を直接観察することにより小さな異常も見つけやすく、より正確に病変を診断することができます。当院では最新のハイビジョン内視鏡を使用して盲腸から肛門の裏まで隅々観察しています。内視鏡検査によって大腸がんを早期発見することで治療も早くから始められ、治癒する確率が高まります。
検査中にがん化の恐れがあるポリープが見つかった場合、場所とサイズにもよりますがその場で切除することもあります。なお、大腸の粘膜には痛みの神経がないため、切除の際に痛みを感じることはありません。
【デメリット】
どの検査にも言えることですが時間と費用がかかります。検査前に腸内をきれいにする必要があるため、半日~1日ほど拘束時間が発生することになります。
また、検査中に痛みや圧迫感を感じたり、腸管壁に傷が付くなどの可能性はゼロではありません。大腸内視鏡は医師の経験と技量の差が出やすいため、過去の検査で不快感が強かった方は2回目を受けたがらないという場合があります。
私はこの「患者さんの苦痛」をどうにか軽減したいと技術の向上に努めています。内視鏡検査の苦痛を減らすためには、スムーズにより早く深部(盲腸)までカメラを入れる必要がありますが、経験が浅いとこれがうまくできません。私は約20年間、内視鏡検査を年間最大で1000件以上行ってきた中で日々研究を重ね、今では患者さんに喜んでいただける苦痛の少ない検査ができるようになったと自負しています。
大腸内視鏡検査の費用
初診の際に患者さんから聞き取りをし、医師の診断で検査が必要と思われる症状や病態があれば大腸内視鏡検査に健康保険を適用することができます。症状がまったくない場合でも10割負担となりますが任意で行うことができます。
検査費用は保険適用の3割負担で6800円+検査食1080円=7880円程度です(検査に使用する薬剤の種類により数百円程度の差は有)。検査でポリープが見つかり病理組織検査(生検)が追加になる場合は追加費用がかかり、場所と個数によって異なりますが3030円~10980円ほど追加でお支払いいただきますので、検査を受けられる際には多めの現金をご持参いただくほうがよいでしょう。なお当院ではクレジットカード払い(1回払いのみ)にも対応しています。
大腸内視鏡検査の流れ
1)初診の予約
初診・受診は予約制ではなく、来院した後にお願いしています。混み具合によっては診察が難しい場合もあるので、まずはメールフォームかお電話にて初診の希望日と検査の希望日をお伝えください。日程調整のために、折り返し予約確定(先にスタッフから電話)のご連絡をさせていただきます。
2)初診
来院された際に、大腸内視鏡検査についてご説明し検査日を確定します。検査前日までの食事や内服薬のことを含め注意事項をお伝えしますので、検査についての疑問や不安な点がありましたら何でもご相談ください。初診のときには「腸に違和感があるような気がする」「最近便の出が悪いかも」という軽微な異常でも自覚症状がある場合はぜひお伝えください。※持病にとっては止めていただく内服薬がございますので注意してください。
3)検査前日まで
検査の4~3日前くらいから腸内をきれいにする準備をしていきます。腸に残りやすい繊維質の多い野菜などは避けるようにしましょう。水分を多めに摂ることを意識すると便が出やすくなります。
前日から当日までの食事については、午前検査と午後検査で異なります。また、当院では大腸内視鏡検査専用の検査食を用意しています。
【午前検査の食事パターン】
前日の午前中は素うどん、そば、おかゆなど消化しやすい食事は摂ってもOKです。昼食と夕食は検査食(夕食は夜9時までに済ませてください)、検査当日の朝食は食べません。
【午後検査の食事パターン】
前日の朝食・昼食は消化しやすい食事を摂り、夕食は検査食。当日の朝食も検査食を摂ります(朝食は検査の5時間前までに済ませます)
その他、内服薬については診察の際にご説明をしますので、検査前日から指定の量を内服していただきます。
4)検査当日
検査の4時間前より腸管洗浄液を飲み始めます。薄いスポーツドリンクのような液を2Lを6回~10回に分けて、ゆっくり飲みつつ便を出し切って来院していただきます。ご自宅で飲むのが不安という方は早めに来院して飲むこともできますが、専用の部屋がないため何時間も待合室とトイレを行ったり来たりと大変落ち着かないと思いますので、ご自宅で準備してから来院された方が快適かと思います。また、鎮静剤を使用する方は自転車や自動車等の運転ができませんので、公共交通機関をご利用ください。
5)大腸内視鏡検査の実施
事前に予約した時間に来院していただきます。遅刻しないようにと予約よりもすごく早い時間に来院される方もいますが、待合室の混雑を避けるためにも予約時間ぴったりを狙ってお越しください。
来院後は検査着に着替えて血圧など測定します。鎮静をご希望の方はごく短時間だけ作用する軽い麻酔薬を使用します。
大腸内視鏡検査は10~20分くらいで終了します。鎮静しない場合は小型のモニターで腸内の様子をリアルタイムでご覧いただけます。胃カメラと違い発声できるので医師と会話することも可能です。
6)検査後
検査後(鎮静された方は目が覚めてから)、医師が検査結果をお伝えします。ポリープの切除や組織検査等の処置を行わなければ検査後すぐに食事を摂っていただいてかまいません。ポリープ切除を行った方は出血しやすい状態になりますので、辛いものなど刺激物を避けるなどの注意点についても同時にご説明いたします。
大腸内視鏡検査で大腸がんを早期発見しよう
当院では挿入技術の研鑽を重ね、患者さんに痛みや不快感をほとんど感じさせない検査を目指しています。札幌市外や道外からはるばる来院してくださる方も増え、「ここのクリニックで検査を受けてよかった」と言っていただけると日々努力したかいがあると嬉しく思います。
大腸がんは自覚症状が出る頃には手遅れであることも多い病気です。働き盛りの年齢から急増するのでそのくらいの年代の人は「いつなってもおかしくない」と意識していただきたいのですが、忙しいが故に現時点で痛みがなければ検査は後回しにしてしまうでしょう。時間ができたら検査を受けよう、ではなく、まずはひと月、ふた月先に検査の予約をしてしまうことをおすすめします。大腸がんで命を落とすことがないよう、早期発見のために大腸内視鏡検査を受けましょう。
まずはお気軽にご相談ください。
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